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May 14, 2004

観テ来マシタ。 映画「CASSHERN(キャシャーン)」

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 賛否両論の紀里谷和明監督「CASSHERN(キャシャーン)」、私は楽しんだ(娯楽性が高いとは言わないが)。亡霊となったヒーローによる冥府巡り、今際(いまわ)の際に見る楽園、そして胡蝶の夢──といった素直に反応できるイメージ要素が多かったのが理由か。
 それらのイメージの紡ぎ方に独りよがりなところがあるのは確かで、終盤では結局破綻しているので、訴える力が収束しなかったうらみは残る(ゆえに「何が言いたいのか」と観客に言わせるのは仕方ない)。しかし、直截なメッセージを込めようという姿勢を含めて、好感を持てるところが多かった。
 ストーリーについては、果たして構築しようという意志がどの程度働いていたのか、あるいは殆んど感覚に任せられたのかが知りたいところだ。後者しかないという声も聞こえてきそうだが、では共同脚本に迎えられた菅正太郎、佐藤大という興味深い人選は、どう機能したのか(しなかったのか)。

 総計3000カット、合成2500カット、マットペインティング使用600カット、CG使用500カットという概算だそうだ。劇場用映画「Under World」(シナジー幾何学)が結果的に封印されてしまった庄野晴彦(ウィル)が、CGスーパーバイザー(兼コンセプチャルデザイン)として存分に腕を振るっているのが感慨深い。庄野によるメカ設定(デザイン)は、「押井守+竹内敦志」組と比較すれば理を欠いたもののように見える。そこにアレルギー反応を起こす人も多そうだ。しかし、あくまでクールな「イノセンス」にはなかった勢いを感じた。
 新造人間の一対一のバトルはうまく行っていない。「キレイな殺陣じゃなくて、必死でいいから」という演出だったそうだが、にしても分かりにくい。見慣れたソードアクションやカンフーアクションにする気はなかっただろうし、やはり作画アニメーションの援用がベストのはずなのだが、加工処理を前提としたアクション映像としては追求し切れていないと感じた。洋画でも「マトリックス」「ブレイド2」など達成度の高いものはわずかだと思うので、邦画でのテクニック開発に期待したいところだ(ハニメーションはどうなのか)。
 アニメ・特撮魂という意味では、樋口真嗣がバトルシーンコンテを手がけたシークエンスがやはり白眉だ。ただ、ないものねだりを承知で言えば、中島哲也監督「NTT東日本 SMAP GATCHAMAN 実写CM」(絵コンテ:スタジオ4℃、3DCG:ルーデンス、ポストプロダクション:オニムバスジャパン、3Dマットペインティング:SpFXスタジオ)ぐらいの映像品質で見てみたかった。この種のパートにオムニバスジャパン級のプロダクションがタッチすれば安心なのだろうが、だと6億円に収まらないかあ。

 紀里谷監督のフェイバリットの一つがチェコアニメだというインタビューを読んだ記憶があるが、それは言葉を使えないアクボーンの夢の場面に反映されている。伊藤有壱率いるI.TOONの仕事(クレイアニメ)で、この映画の「切なさ」感を牽引する個所ではないかと思う。
 予算やスケジュールの制約などから考えても、センスを貫けたかというとそうではないのだろう。とはいえ長編初監督で、しかも(関係者が)仕上がりをイメージしにくい合成主体の映画で一定のトーンを保ち、ここまでまとめ上げている力は認められていいのではないか。

参考文献:「日経キャラクターズ」2004年5月号(日経BP社)

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