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September 28, 2004

雑誌カラ収穫。 「美的“植村秀×山口藍 新世代型コラボレーション”」

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 山口藍──そう言えば原宿のNADiff(ナディッフ)で見ていたんだなと思い出した。その時はHIROPON FACTORY(現Kaikai Kiki)としての出展だった。気になっていながら、その後を意識して追ってはいなかったのだが、現在は独立してninyu works(ニニュワークス)という5人のユニットで活動しているそうだ。

 美的 2004年11月号で、シュウ ウエムラのクレンジングオイルのボトル用アートワークに、その山口の「とうげのお茶や」のキャラクター(という表現は使われていないのだが)が採用された経緯などが語られている。
 タイトルを記しておくと、「植村秀×山口藍 新世代型コラボレーション“コスメとアートのふたつの才能があの伝説のクレンジングオイルに新たな命を吹き込んだ”」(p.316)というもので、全4本のコラボ商品も掲載している。

 「とうげのお茶や」というモチーフは、人里離れた遊郭を舞台に設定したもので、その主役として禿(かむら)と呼ばれる遊女見習いの10歳前後の少女(9人)を山口が描き続けている。ロサンゼルスで個展が大成功、というのが頷ける作風だ。期間限定サイト(9/6-12/31)の「Shu by ai」で、それらを見ることができる。

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September 27, 2004

記シトキマス。 書籍「アニメーションの現在 ~Japanese Animation Horizon~」

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 おしゃれで可愛いデザイン──といった地点から、「日本のアニメーション」との接点を探ろうとすると、こんなふうなものが出来てくるのだろうか。
 「アニメーションの現在」(2004年8月7日発行)の版元は、ムーミンやチェブラーシカのグッズを扱う傍ら、鈴木清順(「STYLE TO KILL ~殺しの烙印VISUALDIRE」…これ、確か買った)や、中平康、増村保造の書籍を発行したりしている。「アメリ」のDVDもここが扱っているようだ。

 で、そんな広いようで狭い幅(キャパシティ)の中に収まった感のある内容はと言うと、“鼎談 田中栄子vs湯浅政明vsロビン西 映画「マインド・ゲーム」はこう作られた!”で始まって、“PV、CFの世界 森本晃司インタビュー”で終わる「スタジオ4℃」度の高い構成だ。
 一方、プロダクションI.GやGAINAXに対してはやや冷たくて…いちおうプロダクション紹介などはされているのだが、“2004年”を強調しておきながら、「攻殻機動隊 SAC 2nd GIG」「トップをねらえ2!」「DEAD LEAVES」といったあたりの図像の採集を怠っている。

 ほかに「2004年劇場アニメーション総覧!」「アニメvsカルチャー」といった、やや思考放棄の感があるタイトルが並び、よく名前を目にするライター陣をかき集めてはいるものの、存分に力を発揮させるような場を用意できなかった + コントロールできなかったのではないかと思わせる。全般に食い足りない感じがある。
 また、この種の企画では「ジャパニメーション」という言葉の使用にどう自覚的であるか(語義をどう把握しているか)が気になってしまうのだが、これについては「×」だ。

 版元の持ち味が出ていると思われるのは「クリエーターvsアニメ」と題した10人分のショートコラムで、各国のアーティストや写真家に、「日本のアニメ」について語らせている。「イノセンス」に対して支持表明しているギャスパー・ノエ以外は知らない顔ぶれだが、趣向として楽しい。ここは誌面デザインとしても最も読みやすい部分で…逆に、あとは「デザイン」として賛同できないところが多いのだが…。
 ほかでは、あえて言えば、“対談 布山タルトvs真島理一郎「インディペンデント・アニメ」”が好企画だと思うが、これももう少し踏み込んだ内容を読みたかった(前者はアニメーション短編「FRANK」、後者はCGアニメーション連作「スキージャンプ・ペアの作者)。

 森本晃司インタビューは、あえてPVとCFにテーマ限定した内容だが、「リアル」について語っているくだりは、目指している方向性の所信表明と言えるものだとも思うので、一部だけ拾っておく──。

 「『サザエさん』なんかも、もしサザエさんがなにかを切っていてザクッと指が切れて血が出たりすると、それだけで「あ、これは人が死ぬ世界なんだ。波平大丈夫かな?」(笑)ってなるじゃないですか。いきなり不穏な空気が充満する。そういうのが記号の面白さというか、絵の持っている力とはそういう事なんですよね」(p.111)

 発行はプチグラパブリッシング(価格1890円)。

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September 14, 2004

雑誌カラ収穫。 「Invitation“アニメーションクライマックス2004”」

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 宮崎駿監督「ハウルの動く城」の前に、新海誠監督でひと稼ぎか、Invitation 2004年10月号──と思ったら、ハウルを表紙にしたいと交渉して断られたのだそうだ。宣伝は公開(11月21日)の1カ月前に集中して行う方針だという。
 で、表紙と特集のトップに抜擢されたのが新海監督「雲のむこう、約束の場所」だ。製作規模、特にスタッフ数がかなり拡大したことによる戸惑いが、正直に語られていて良い(インタビュー部分は少なく、記事としては無理に引き伸ばした感があるが)。

 特集全体としては、バランスよく色々な題材を扱っているとは思うのだが、ややパンチに欠ける。アニメは“現場感”のあるレポートが難しいし、巨匠監督が登場しないと内容としてもたないところがやはりあるようだ。
 中では、やや食傷気味のプロダクションI.Gを後退させて、GONZO(ゴンゾ)を大きくフィーチャーしたのは◎だ(フジテレビ、というか亀山千広プロデューサーが支援するもう一人、樋口真嗣監督もここの創立メンバーなので、がっぷり四つと言える)。ここで宮部みゆきに語らせるとかすれば、「華がない」感が和らいだのかもしれない。

 あとは仙頭武則プロデューサーの「『宇宙戦艦ヤマト』復活の真相」(ヤマトは「CGじゃなくて、“描く!”」つもりだそうで、それは正解)、森本晃司監督の「もっとも新作が見たい才能 森本晃司が考える「これからのアニメ」」(「そろそろ覚悟を決めようかと思っています」とのことで、長編に期待)が、比較的読み応えがあった。

 私も成り行きを気にしているのが、YAMATOWORKSの「カクレンボ」で、結局はこれもコミックス・ウェーブが手がけているようだ(共通項にスタジオ4℃があるはずなので、妥当か)。東京国際ファンタスティック映画祭(デジタルショートアワード「600秒」)、それにワンドット・ゼロでの上映が決まっているそうで、恵まれたスタートだ。

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September 11, 2004

全話ヲ終エテ。 アニメ「妄想代理人」

 ほぼ全話数ともに、「よく出来ている」。「よく出来ている」という表現には、ほんの少しだけのネガティブな意味合いもあると思うのだが、ここにも当てはまるかもしれない。とはいえ、技術・結構ともに、テレビ放映用ながらこれだけのレベルのものを達成しているのだから、文句は言えない。
 なかでも「よく出来ている」と思ったのは──

□07話「Mhz」
 絵コンテ/演出:浜崎博嗣 演出助手:平尾隆之 作画監督:朝来昭子
□10話「マロミまどろみ」
 絵コンテ:佐藤竜雄 演出:遠藤卓司 作画監督:安藤雅司 山田勝哉
□13話「最終回。」
 絵コンテ:今敏 演出:遠藤卓司 作画監督:鈴木美千代 エフェクト作画監督:井上俊之

(もう一度観ると評価は変わるかも。どうして後半が印象に残るので)

 「妄想代理人」というタイトルは、内容を予想させすぎるとも言えるし、うまくミスリードしているとも言える。少年バットはともかく、ここではマロミというキャラクターが最大の発明だろうと思う。「なるほど、そう来るか」という最終話も、「見事」に着地している(あえて曖昧にしておく)。
 「主人公リレー形式」という趣向なのだが、私の場合はDVDが全巻そろったのを確認し、パッケージの説明なども読んでからレンタルショップで借り始めた。つまり、いったん全体を俯瞰した上で観ているので、リアルタイムで観た場合に感じるであろう展開の妙を、受け取り損ねているかもしれない。
 WOWOW、加入していないので…。(そういう人向けの「計算」も欲しい)

 で、パッケージという観点から言うと、Vol.4(7話+8話)だ。両極にある2話がカップリングされている。今敏監督(総監督)のKON'STONE内「“妄想”の産物」に各話の使用動画枚数が記されているが、それが象徴的で、7話が最少の3634枚、8話が最多の8893枚──ちなみに各話平均は5364枚だという。

 7話は、マッドハウス系(浜崎博嗣)とGONZO系(朝来昭子)が出会った、デジタルアニメの最良の姿だと思う。「動かしても止めても持つように設計されている」ことを今監督は賞賛しているが、その裏付けとして構図と光の処理(デジタルワーク)に細心の配慮が払われていて、とにかく止め(微動)の画面が冴え渡っている。

 そして8話──

□08話「明るい家族計画」
 絵コンテ/演出:うつのみや理 作画監督:うつのみや理 作画監督協力:井上俊之

 原画も記す──
 井上俊之 西尾鉄夫 松本憲生 沖浦啓之 黄瀬和哉 本田雄 新井浩一 海谷敏久 荒川直樹 若月愛子 牧原亮太郎 小松田大全 小田剛生 菊地大輔 森岡威 沓名健一 熊膳貴志 丸山友 堀元宣 霜山朋久 ウォンバット(豪華。13話はさらに豪華と言えるが、「ゲスト出演」的な感も)

 実はこの8話は最大の「問題作」のようだ。今監督は、「もっともシナリオの出来は良い話数であろう」とした上で、しかし、「出来がもっとも良かったにもかかわらず、シナリオから本篇になる過程でもっとも改変された話数でもある」と断罪している(うつのみやは自身の戯作三昧で「うーーん・・、」と応答)。
 どこが抵触したかというと、「(改変による)はっきりとオチが付くような「落とし話」は話の構造が単純すぎる」ことが問題らしい。──のだが、観ている方としては、それが「キズ」だとは全く感じなかった。「虚勢=非生産」というお題を、肯定も否定もしない筆致で絶妙に逸話化した傑作と言っていい。
 この「奇妙な味わい」は、体験に値する。

 今監督は、「劇場作品は、ゴールを決めてそこに向かって作っていく。自分の中で予定調和になってしまうのを、今回は壊したかった」と語っている。そうした「調和の破壊」からもはみ出た8話があることによって、この連作は外に開かれ、逆説的に予定調和でないものになり得たのではないか(ものは言いよう、だ)。

(このところ忙しく、9月の更新はスローになります)

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