
押井守論やイノセンス論にはさすがに食傷気味で(それに難しいものが多い)、文藝別冊 押井守(KAWADE夢ムック・2004年6月30日発行)もほとんどは軽く目を通しただけなのだが、巻頭の対談(押井守+佐藤大輔)、これだけはとても貴重な内容だった。
題して「戦争とファンタジー」。相手の佐藤は仮想戦記の書き手で、「Howling in the Night2004~押井守、《戦争》を語る」(2004年2月26日)でも押井監督は、その著書(「征途」)を推薦していた。
受けた影響はかなり大きいようで──「読みつづけて、十年ぐらいたちます。そうして一種の戦争好きになっちゃった」(p.006)、「戦争について、イデオロギーとかの負荷を無視して語るということは僕たちにはできなかった。そういうことに目を開いた貴重な体験というのが佐藤さんの小説」(p.022)、「僕にとっては日本人というものを考えるすごくいい機会になったということですね。要するに戦争に負けたのが悔しいんだと」(p.027)──などと語っている。
一方、佐藤は「うる星やつら」の熱心な視聴者で、「押井さんが『うる星やつら』から抜けられた時点で観るのをやめてますから(笑)」などと明かしている。ただ、対談ではアニメ自体にはそれほど話は及ばず、小説を巡る内容が多い。
特に踏み込んでいるのは、佐藤が最も尊敬し、“ファンタジー作家”として見てもいるという大藪春彦についてだ。押井監督も、「必ず何を食ったかっていうことを延々と書いた」点に感心して、かなり読んだ時期があるという。
年齢はひとまわり下になる佐藤に対し、押井監督が、創作におけるアプローチの違い(世代差)を聞き出していくところが興味深い。饒舌で鳴らす押井監督と(少なくとも誌面上では)拮抗して佐藤が語っているので、読みごたえがある。
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