February 08, 2005

画師。 「オキサイドツーエックス キム・ヒョンテ画集」

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オキサイドツーエックス
キム・ヒョンテ画集

キム・ヒョンテ(著)
エンターブレイン 2310円(税込)

 テレビゲームから遠ざかって久しいので、ほとんどマークしていなかったのだが、売れていそうな気配を書店で漂わせていたので、衝動買いした(ゲームの売り場には行くので、マグナカルタ(PS2用・パンプレスト)のパッケージを手にしたことは何度かあったが、韓国の人気デザイナーを起用しているということまでは関知していなかった)。
 実際に初版初刷(奥付では2005年1月5日発行)は、かなり早い時期に品切れになって、買いそびれた「キム・ヒョンテ」ファンを焦らせたらしい。私が買ったのは初版2刷(2月10日発行)だ。

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October 12, 2004

雑誌カラ収穫。 「季刊エス“少年少女サーカス”」

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 相変わらず盛りだくさんの季刊エス第8号(アネモネ10月号増刊・2004年10月1日発行)の特集は「少年少女サーカス」で、この雑誌ならではの絵師が顔を揃えている。中でも注目は、前号で紹介されたフー・スウィ・チン(Foo Swee Chin)を特集に参加させていることで、インタビューも併載している。
 彼女はインタビューで、お薦めのアメコミ(インディーズ系)として「JTMH」(作者:Jhonen Vasquez 出版社:Slave Labor Graphics)を挙げている。こちらも要チェックかも。また、同人誌「muZz」#1の日本語版(翻訳監修はウエダハジメ)が制作されていて、COMIXまんがの森で販売中だという。
 さらに特集には Chicken×わかば が対談付きで登場するほか 水屋美沙×水屋洋花(表紙) okama 岸田メル 榎本 カンユ 久坂宗次 来鈍 405 山田J太 明智京子(漫画) といった面々が挿絵を提供している。フー・スウィ・チンを別にすれば、画の構成力としてはChickenが一歩抜きん出ている。

 特集以外では、小林尽の「スクールランブル」と大岩ケンジの「NHKにようこそ!」についてそれぞれ、初期キャラクター設定のラフと共に、ネーム・下描き・原稿といったプロセスで素材を掲載しているのが好企画だ。
 乙一の「GOTH」も手がけている大岩ケンジのインタビューでは、マンガの構図としてステレオタイプにならないように映画の構図を意識している──特に「黒澤明の映画はすごくいい」というところが興味深かった。

 「アニメ原画の世界」第2回は「サムライチャンプルー」で、15話「徹頭徹尾」から、中澤一登による原画を15点掲載している(下船渡上段の名義で脚本・画コンテを担当し、原画と演出も手がけた回だという)。ミニインタビューもあって、私がこの人の画を好きな理由が端的に表現されている。とは──
 「今回はしなやかさに気を付けました。釣り竿のような、竹のようなしなやかさです。あんな動きがいいなあと思いまして」
 といったくだりだ。こうした感覚と、独特の揺れ動くカメラワーク、そして現在のアニメーション演出家が実現している中でも最も切れ味が鋭いと言えるデジタルワークをどう融合しているか、といった観点からの技法追求を本当は望みたいところだが、それはこの雑誌の領分ではないので…どこかに出るのを待つ。

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September 28, 2004

雑誌カラ収穫。 「美的“植村秀×山口藍 新世代型コラボレーション”」

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 山口藍──そう言えば原宿のNADiff(ナディッフ)で見ていたんだなと思い出した。その時はHIROPON FACTORY(現Kaikai Kiki)としての出展だった。気になっていながら、その後を意識して追ってはいなかったのだが、現在は独立してninyu works(ニニュワークス)という5人のユニットで活動しているそうだ。

 美的 2004年11月号で、シュウ ウエムラのクレンジングオイルのボトル用アートワークに、その山口の「とうげのお茶や」のキャラクター(という表現は使われていないのだが)が採用された経緯などが語られている。
 タイトルを記しておくと、「植村秀×山口藍 新世代型コラボレーション“コスメとアートのふたつの才能があの伝説のクレンジングオイルに新たな命を吹き込んだ”」(p.316)というもので、全4本のコラボ商品も掲載している。

 「とうげのお茶や」というモチーフは、人里離れた遊郭を舞台に設定したもので、その主役として禿(かむら)と呼ばれる遊女見習いの10歳前後の少女(9人)を山口が描き続けている。ロサンゼルスで個展が大成功、というのが頷ける作風だ。期間限定サイト(9/6-12/31)の「Shu by ai」で、それらを見ることができる。

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August 15, 2004

雑誌カラ収穫。 「活字倶楽部“人気イラストレーター特集”」

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 「小説を彩る人々」──。活字倶楽部34(2004夏号)が、装画や挿絵を描くイラストレーターの特集を組んでいる。注目度の高いイラストレーター(漫画家も入っている)をピックアップし、5人に対するインタビューのほか、16人の簡単な紹介も載せている(読者アンケートを実施したそうだが、結果がどの程度反映されているかは不明)。
 さらに、出版社の編集者4人(匿名)に協力を仰ぎ、イラストレーターを「どのようにして決めるのか」「どこから見つけてくるのか」といった興味深い共通質問をぶつけている。装画・挿絵事情を把握するための参考になりそうなので、特集に名前が挙がっているイラストレーター(漫画家)を記しておく──。

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August 11, 2004

コノ画ガ好キ。 「0レンジ 森本晃司」

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 森本晃司の画は大好きなのだが、価格に見合うかが心配だった。対談収録(相手は大友克洋)というのも画集として“逃げ”ではないかと、懸念もあった。が、損はなかったと思う。
 個人的には、描き込まれた背景やガジェットっぽい装身具よりも、キャラクターの身体や動作のフォルムの面白さの方に惹かれているので、アニメの原画なども見たかった。
 ただ、仕事集ではないので、あくまで雑誌用などのイラスト、それに自分の周りに散らかっていたという「ラクガキ」(これが膨大にあって楽しい)を主に収録している。

 タイトルが記載されている(ラクガキでない)もので気になったのは、1991年作のアニメ(名称は記載なし)用イメージボード(p.195~p.198の4点)で、ここは他と懸け離れた印象。
 また、全般にKIDS系のキャラクターが多いので、ごく普通の女の子と妙な生物3体による2000年作のCDジャケット(坂本真綾「しっぽのうた」 p.186)が、逆に新鮮に見えたりもした。

 構図的に完結している商業イラストなどよりも、ラフな線のラクガキの方が総じて魅力的かも。やはり静止画の人というよりは、動画の人と思いたいのだが、どうだろうか。
 「とべ!くじらのピーク」以来となる長編の監督を期待したいところだが、対談の中で「いつも物語性がないとか言われて、「話」コンプレックスなんですよ。主人公の成長とかに興味がないのかもしれない」と語っている。それもあって足踏みしている、ということなのだろうか(フルCGによる「鉄コン筋クリート」といったプランに、積極的にかかわっていた時期もあったが…)。

 「アニマトリックス“BEYOND”」は素晴らしい出来だった。スタジオ4℃としてはぜひ、湯浅政明監督「マインド・ゲーム」を経済的に成功させ、その勢いで森本作品のプロデュースにも力を入れてほしい、などと思うのだった(コミックス・ウェーブでもいいが)。
 話が逸れたが、発行は飛鳥新社(価格3800円)。…あと500円安く設定して欲しいところ

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July 23, 2004

雑誌カラ収穫。 「サイゾー“ドラァグクイーン、ヴィヴィアン佐藤の薦める「現代ニッポン裏文化」本”」

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 見逃してしまいそうだったが、サイゾー 2004年8月号「北朝鮮拉致被害者の子供たちに贈る「現代日本を生きるための副読本」案内」と題した企画中のひとコマ、「ドラァグクイーン、ヴィヴィアン佐藤の薦める「現代ニッポン裏文化」本」(p.110)という談話記事について記しておきたい。そこで推薦されているのは、雑誌(ムック)『ゴシック&ロリータバイブル』(インデックス・マガジンズ)──。あ、もう13号になるんだ。
 「ゴスなんていっても、中世西ヨーロッパの美術様式のゴシックとは、なんの関係もないですから。日本では、少しピークを過ぎているけれど、去年の11月にハリウッドに行ったら、お洒落な人たちの間でも大人気でした。ハロウィンのイベントのフライヤーなんか、どれもこの本からサンプリングしてつくっていたほど。ゴスロリは、実は現代日本が世界に誇る文化なんです」って…嘘か真か、目下、判断材料は私にはない。
 ヴィヴィアン佐藤は、磯崎新アトリエ(建築設計事務所)に入社後、歌舞伎町「バーM」のマダムなどをへて、現在はドラァグクイーン、映画評論家などとして活躍する──とまさに異色の経歴。名前を知らずに見ていたものもあると分かったのだが、この人の画、良いです。韮沢靖が中心となったイラスト集「Bitch's Life」(グラフィック社 )にも参加している。「建築家」ともされているのだが、そちらの活動内容は不明。

 同じ号には「愛娘が緊急寄稿! 父・押井守監督作品『イノセンス』が受けたカンヌでの“評価”」(p.086)という寄稿も。映画祭に同行した押井友絵(私は初めてその存在を知った)が、(身内ながら)公平に、そして(身内ゆえに)静かな怒りもはらませて現地で見た模様をレポートしている。当地での残念会で押井監督が、「アニメーションには、まだやるべきことが残っているということがわかった」と語ったことも伝えている。

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June 24, 2004

コノ画ガ好キ。 「名倉靖博の世界」

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 珠玉の作品集──と言い切る。収録点数も豊富で、画を大切にした丁寧な編集がなされている。大半の画に対し、作者の名倉靖博が改めてショートコメントを寄せているのも嬉しい。個人的には丸みのある綺麗な線の画には苦手意識があって、収録されている作品にはそういった傾向のものも多いのだが、どれも気に入っている(ペンシルのタッチが絶妙)。
 以下、収録内容の一端を知ってもらう趣旨で、(勝手な)カテゴリー別に好みの画を挙げてみる──。

○“幻の企画”もの 「星を後に…」(p.020)
国際花と緑の博覧会のために企画された「星の王子さま」をモチーフとしたアニメーション用のイメージボード。そのタッチのままデジタルで動かしたかった、という。ほかに3点。

○“掘り出し”もの 短編コミック「バーレルセル」(p.106)
「ザ・モーションコミック」という徳間書店の雑誌(1984年10月号)から、8ページの短編を採録。主人公の男の子は、「とんがり帽子のメモル」のポピットの原型なのだそうだ。

○既成キャラクターもの 「Clover~クローバー」アートオブハローキティ(p.009)
ピンクのクローバーに彩られた超高層街(NY)の上空に、女の子を乗せたハローキティのバルーンが(イエロー!)。色使いが他の作品とはだいぶ異なる。同シリーズでほかに2点。

○手塚治虫ワールドもの 「無垢なる天使の目覚め」(p.034)
キャラクターデザイン・総作画監督などを担当した「メトロポリス」関連のイラスト(「ニュータイプ」掲載)。同作からはDVDジャケット、宣材イラスト、そして(修正)原画等も。

 以上(…中心となる作風のものからは外れてしまったかも)。映像関連ではほかに、幻の劇場アニメーション企画「金魚姫のシャーベット」(設定資料、イメージボード12点)、コナミ・バオバブレーベルOVA「どんぐりと山猫」(イメージボード13点、セル画(に見えない!)16点等)が、ボリューム感のある構成で見ごたえがある。1ページだが、「お勢登場」(「RAMPO」)の絵コンテも。
 発行はソフトバンク パブリッシング(価格2940円)。

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June 17, 2004

雑誌カラ収穫。 「季刊エス“女學生”」

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 認識不足ではあったが、この雑誌、女性読者(=クリエイター志望者)のほうが主な対象なのだ(よね? 投稿欄も女性の割合が高そうだし)。どうも新味に欠ける「コミッカーズ」と比較すれば、目先を変えた企画を立てようという工夫が伺える。その季刊エス第7号(アネモネ7月号増刊・2004年7月1日発行)は、特集が「女學生」。
 中原淳一、蕗谷虹児に遡って始めているが、このテーマで“いける”と編集サイドが踏んだのは、中村佑介(「アジアンカンフージェネレーション」CDジャケット)の存在があったからではないか(かなり勝手な当て推量だが)。成功までの道のりが淡々と語られているインタビューが、特集の中では一番興味深かった。
 森美夏、わかばなど8人によるモノクロームのイラストがあるほか、吉田基已(「恋風」)の直筆コメント(+ラフ画、ラクガキなど)による13のQ&A、アニメ「コゼットの肖像」のビジュアルギャラリー(桂明日香・書き下ろしイラスト、okama・プロダクションデザイン画など)に共に4ページを割いている。

 特集以外で気になったのは、「シンガポール出身の新進アメコミ作家の世界」として紹介されているFoo Swee Chin。日本の少女まんがを山のように読んで育ち、一方で、村田蓮爾、寺田克也、田中達之、皇なつきなどに心酔しているという。オリジナリティについては、コミック「Nightmare & Fairytales」を読まないうちは判定できそうにない(が、独自の個性に到達するのはこれから、の人なのではないか)。個人HPに相当量のイメージをアップしているようなので、まずはそれを見てみたい。

 あとは「アニメ原画の世界」という連載が始まっていて、第1回は「イノセンス」だ。セイフハウスでのバセット犬のシーンから8点、愛玩用アンドロイドが自殺するシーンから10点、という共に黄瀬和哉・作画監督担当部分が掲載されている。で、前者については「井上俊之さんが担当されたと既に噂になっているが」と記してあるものの、断定はしていない(そんな…公知のことだとしても、確定して書いてよ)。後者も作画担当は明記されていないが、雑誌(読者)の性格からいっても、描き手はぜひ記載してほしい、次回からは。

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May 30, 2004

コノ画ガ好キ。 「edge - a collection of painting -」

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 第一線の漫画家、アニメーター、イラストレーターの総勢34人が、「edge」という共通テーマの下に画を描きおろしている。コメントなどはいっさい併載しない純粋な画集として構成されたものだ。極私的な観点で、気に入った5作を挙げてみた(偏っている気もするが)。
 Aは「キャラクター」(デザイン、ポーズなど)、Bは「世界観」(美術設定、美術とキャラクター、キャラクター同士の相互作用など)、Cは「絵画性」(構図、描線、色彩、質感など)について、個人的な好感度を示した。既に完成度の高い(見慣れた感のある)森本晃司、田中達之はあえて選んでいない。

鶴巻和哉
 A ★★★☆
 B ★★
 C ★★★☆
小池健
 A ★★★★☆
 B ★★★★
 C ★★★☆
toi8
 A ★★☆
 B ★★★☆
 C ★★★
すしお
 A ★★★★☆
 B ★★★★
 C ★★★
湯浅政明
 A ★★★
 B ★★★★
 C ★★★

 以上、掲載順。ほかに気に入ったものを挙げるなら──橋本晋治、今石洋之、長田悠幸、といったところか。“買い”か問われると、ちょっと勇気が要る。何人かの漫画家なども、ベストワークを提供しているという感じではない。「edge」ではなく、もっと情動に訴えるテーマ設定の方がよかったんじゃないか。
 発行はティー・オー・エンタテインメント(価格4515円)。

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