October 06, 2004

雑誌カラ収穫。 「Anime Studio Vol.1」

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 また不思議な雑誌が現れた。宙出版のAnime Studio Vol.1(2004年10月8日発行)は、その版元のラインナップを見ても、どういう文脈から登場したのか、理解しがたいところがある。しかし、編集企画は冴えている。
 メーンのコンテンツを挙げると、「鉄人28号 追悼 横山光輝」「ロングインタビュー 出崎 統かく語りき」「韓国アニメの野望」といった特集、それに「会社の数だけドラマがある アニメ制作会社訪問~GDHグループ・ゴンゾ~」など、伝えるべき情報を的確に押さえている感はある(商業誌としてビジネスになるかには疑問も残るが…ちなみに価格は945円)。

 31ページある「鉄人28号~」に今川泰宏監督が登場しないのは寂しいが、16ページある「出崎 統~」では「Air」について掘り下げ、同「韓国アニメ~」では日本の制作会社とのパートナーシップ、オリジナルの振興、3DCGの発展、60年代からの略史などを複眼的に扱っていて良い(なお版元は「冬ソナ」で結構稼いでいる模様)。
 クリエイター重視の姿勢が頼もしい。ただ、人選はかなり通向けと思われ、半可通の私にはついていけないところもあった(「Creator's History 音楽家 梶浦由記」「クリエイター対談 うるし原智志VS結城信輝」など)。

 参加している“絵描き”も、火浦R(単独コラム)、後藤圭二(きむらひでふみ、門之園恵美とのユニット「gimik」によるコラム)、すぎやま現象(小説「ひと夏の冒険 キューティーはニー外伝」の挿絵)と、いい線を行っている。
 次号は11月30日発行の予定。「ガイナックス特集号」になるそうだ。

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September 27, 2004

記シトキマス。 書籍「アニメーションの現在 ~Japanese Animation Horizon~」

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 おしゃれで可愛いデザイン──といった地点から、「日本のアニメーション」との接点を探ろうとすると、こんなふうなものが出来てくるのだろうか。
 「アニメーションの現在」(2004年8月7日発行)の版元は、ムーミンやチェブラーシカのグッズを扱う傍ら、鈴木清順(「STYLE TO KILL ~殺しの烙印VISUALDIRE」…これ、確か買った)や、中平康、増村保造の書籍を発行したりしている。「アメリ」のDVDもここが扱っているようだ。

 で、そんな広いようで狭い幅(キャパシティ)の中に収まった感のある内容はと言うと、“鼎談 田中栄子vs湯浅政明vsロビン西 映画「マインド・ゲーム」はこう作られた!”で始まって、“PV、CFの世界 森本晃司インタビュー”で終わる「スタジオ4℃」度の高い構成だ。
 一方、プロダクションI.GやGAINAXに対してはやや冷たくて…いちおうプロダクション紹介などはされているのだが、“2004年”を強調しておきながら、「攻殻機動隊 SAC 2nd GIG」「トップをねらえ2!」「DEAD LEAVES」といったあたりの図像の採集を怠っている。

 ほかに「2004年劇場アニメーション総覧!」「アニメvsカルチャー」といった、やや思考放棄の感があるタイトルが並び、よく名前を目にするライター陣をかき集めてはいるものの、存分に力を発揮させるような場を用意できなかった + コントロールできなかったのではないかと思わせる。全般に食い足りない感じがある。
 また、この種の企画では「ジャパニメーション」という言葉の使用にどう自覚的であるか(語義をどう把握しているか)が気になってしまうのだが、これについては「×」だ。

 版元の持ち味が出ていると思われるのは「クリエーターvsアニメ」と題した10人分のショートコラムで、各国のアーティストや写真家に、「日本のアニメ」について語らせている。「イノセンス」に対して支持表明しているギャスパー・ノエ以外は知らない顔ぶれだが、趣向として楽しい。ここは誌面デザインとしても最も読みやすい部分で…逆に、あとは「デザイン」として賛同できないところが多いのだが…。
 ほかでは、あえて言えば、“対談 布山タルトvs真島理一郎「インディペンデント・アニメ」”が好企画だと思うが、これももう少し踏み込んだ内容を読みたかった(前者はアニメーション短編「FRANK」、後者はCGアニメーション連作「スキージャンプ・ペアの作者)。

 森本晃司インタビューは、あえてPVとCFにテーマ限定した内容だが、「リアル」について語っているくだりは、目指している方向性の所信表明と言えるものだとも思うので、一部だけ拾っておく──。

 「『サザエさん』なんかも、もしサザエさんがなにかを切っていてザクッと指が切れて血が出たりすると、それだけで「あ、これは人が死ぬ世界なんだ。波平大丈夫かな?」(笑)ってなるじゃないですか。いきなり不穏な空気が充満する。そういうのが記号の面白さというか、絵の持っている力とはそういう事なんですよね」(p.111)

 発行はプチグラパブリッシング(価格1890円)。

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September 14, 2004

雑誌カラ収穫。 「Invitation“アニメーションクライマックス2004”」

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 宮崎駿監督「ハウルの動く城」の前に、新海誠監督でひと稼ぎか、Invitation 2004年10月号──と思ったら、ハウルを表紙にしたいと交渉して断られたのだそうだ。宣伝は公開(11月21日)の1カ月前に集中して行う方針だという。
 で、表紙と特集のトップに抜擢されたのが新海監督「雲のむこう、約束の場所」だ。製作規模、特にスタッフ数がかなり拡大したことによる戸惑いが、正直に語られていて良い(インタビュー部分は少なく、記事としては無理に引き伸ばした感があるが)。

 特集全体としては、バランスよく色々な題材を扱っているとは思うのだが、ややパンチに欠ける。アニメは“現場感”のあるレポートが難しいし、巨匠監督が登場しないと内容としてもたないところがやはりあるようだ。
 中では、やや食傷気味のプロダクションI.Gを後退させて、GONZO(ゴンゾ)を大きくフィーチャーしたのは◎だ(フジテレビ、というか亀山千広プロデューサーが支援するもう一人、樋口真嗣監督もここの創立メンバーなので、がっぷり四つと言える)。ここで宮部みゆきに語らせるとかすれば、「華がない」感が和らいだのかもしれない。

 あとは仙頭武則プロデューサーの「『宇宙戦艦ヤマト』復活の真相」(ヤマトは「CGじゃなくて、“描く!”」つもりだそうで、それは正解)、森本晃司監督の「もっとも新作が見たい才能 森本晃司が考える「これからのアニメ」」(「そろそろ覚悟を決めようかと思っています」とのことで、長編に期待)が、比較的読み応えがあった。

 私も成り行きを気にしているのが、YAMATOWORKSの「カクレンボ」で、結局はこれもコミックス・ウェーブが手がけているようだ(共通項にスタジオ4℃があるはずなので、妥当か)。東京国際ファンタスティック映画祭(デジタルショートアワード「600秒」)、それにワンドット・ゼロでの上映が決まっているそうで、恵まれたスタートだ。

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August 24, 2004

観テ来マシタ。 展覧会「日本漫画映画の全貌」

 東映動画を挟み、政岡憲三と宮崎駿を大きくクローズアップした、という感じの展示構成だ。展示上映されている映像の多くはDVDで鑑賞可能なもののはずなので、東映の主要作品を彩った著名アニメーター(宮崎を含む)による生のスケッチや原画に触れることをむしろ第一の目的と考えれば、まあ納得して観ることができるだろう。
 大塚康生監修ということで、詳細に見ていけば往時のアニメーター群像を把握するよい機会になると思うが、ボリュームのある図録(2500円)を買えば展示を超えたところまでカバーされていたりもする。やはり展示にもうひと工夫ほしい…。

 クレイアニメ作成ソフトの「CLAYTOWN」を使った体験コーナーなどもあったが、子供(初心者)向けに動画の原理や動画制作の実際を説明するコンテンツがあと少し、何かあってもよいように思った(そうした企画は過去にあったので、違うところに力を傾けたということも理解できなくはないが)。ネコバスも価値を下げるような扱いだし…。
 個人的には巨大な撮影台(マルチプレーン)が◎だった。また、トリビアだが、東京美術学校(現・東京芸大)建築科出身の森康二(もりやすじ)が、東映動画の作画台を「設計」したという“噂”があるという点にも興味を覚えた。実物が展示されている。

 東京都現代美術館で8月31日まで。

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July 30, 2004

記シトキマス。 新海誠監督「雲のむこう、約束の場所」公開情報

 新海誠監督(兼原作・脚本)の待望の新作「雲のむこう、約束の場所 -The place promised in our early days-」の公開情報が、監督の個人サイト「Other voices -遠い声-」で発表されている(2004年7月28日付)。
 渋谷シネマライズでの今秋公開が決まっているほか、以下、テアトル梅田、シネリーブル神戸、札幌シアターキノ、シネテリエ天神で上映の予定。8月7日には予告編ダウンロードを開始し、公式サイトも近々オープンという。
 (新規情報は、地方上映館、それに8月1日から特別鑑賞券発売という告知か。あとは「1時間31分」という上映時間も、編集などがフィックスして最近決まったものかもしれないが)

[追記]
 公式サイトは7月31日にオープンした。予告編(新海監督オリジナル120秒・劇場版90秒)のUPは8月7日の予定、とされている。

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June 11, 2004

雑誌カラ収穫。 「スタジオ・ボイス“アニメを見る方法”」

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 特集「アニメを見る方法2004」のリード、その前半だけ紹介しておこう(大塚ギチによる)。スタジオ・ボイス 2004年7月号──は、ビジュアルが豊富だったので、定価680円に対して損した気にはならなかった。しかし、このリードの宣言どおりには内容が行き届いていない…と私は判断した。手はかかっているものの、構成としては無難なものだし。「尖端アニメーション・クリエイター30」「いま見るべき最新作30選」が、もう少し“ガイド”になりうるものだと良かったのだが(評論ではいけない、ということではもちろんない)。で、そのリードを──。

 「もしあなたがなんの迷いか日本のアニメーションに興味を持ち、いまなにが面白いか、なにが注目作なのかを知りたいと思ったとしてもアニメ専門誌だけは「買ってはいけない」。なぜならあなたが求めるものはなにひとつとしてアニメ専門誌に記載されていないからだ。作品評論はもちろん作品紹介としても正常な機能をしてるとは言い難いし、1兆円マーケットをその対象としながらも(この額はサプリメントやデジカメ業界とほぼ同額にもかかわらず)DVDをふくめたソフトのバイヤーズガイドとしてさえ未熟極まりないことに苛立ちを覚えることだろう。(以下略)」

 冒頭の「緊急座談会:アニメは終わったのか!?」では、神山健治の発言がやはり現場感覚があって非常に面白い。押井守に認められて監督として頭角を現してきた理由が、よく分かるというものだ。あとは、専門家筋のコラムなどと比較して「遠慮がなく」ユニークだったのが、西島大介(「凹村戦争」)のインタビュー──かと思ったらインタビュー仕様の自作自演コラムらしい。この特集企画の中では、いちばんの収穫だ。…と、なんだかんだ言っても、ピンポイントで後追い(レンタル)鑑賞するしかない身にとっては、有難い企画ではあったりする。

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