雑誌。 「宮崎駿の世界」
クリエイターズ ファイル 宮崎駿の世界
竹書房(バンブームック)
2005年1月24日発行 1200円(税込)
宮崎アニメのいまの語り口は、「スターウォーズ」に端を発する!?
──対談企画「鈴木敏夫×石井克人“ハウルの動く城─天才の創り方─”」は、ボリュームたっぷり(約3万2000字)で、「ハウル~」関連で見かけた鈴木プロデューサーの発言としては、最も具体的に(省略せずに)描かれている一つではないか。
クリエイターズ ファイル 宮崎駿の世界
竹書房(バンブームック)
2005年1月24日発行 1200円(税込)
宮崎アニメのいまの語り口は、「スターウォーズ」に端を発する!?
──対談企画「鈴木敏夫×石井克人“ハウルの動く城─天才の創り方─”」は、ボリュームたっぷり(約3万2000字)で、「ハウル~」関連で見かけた鈴木プロデューサーの発言としては、最も具体的に(省略せずに)描かれている一つではないか。
PEN No.139(2004年10月15日発行)の特集中でも、「タイトルバック・デザインの名手たち」が個人的には大ヒットだった。不覚にもノー・マークだったパブロ・フェロの項を読み、ピーター・イェーツ監督「ブリット」(1968年)を手がけたのがこの人か!(しかも現役)と知ったしだいだ(WEBサイトもあって、QuickTimeムービーの映像を見るとちゃんとクレジットが大きく出てくるのだが、昔は気に留めていなかったのだった)。
しかも、同年にはノーマン・ジュイソン監督「華麗なる賭け」も手がけている。ハル・アシュビーが編集を受け持った作品とされているが、実はタイトルだけでなく編集もフェロが担当したらしい。センスのいいスプリット・スクリーン(画面分割)の使われ方がずっと気になっていたのだが、やっと疑問が解けた(バイオグラフィーを見たところ、やはり当時の革命的技法としてスプリット・スクリーンには自負があるようだ)。
スプリット・スクリーンの活用で有名なリチャード・フライシャー監督「絞殺魔」が1968年だから、同時発生的なものだったと分かる。よりグラフィカルな使われ方のジョン・フランケンハイマー監督「グラン・プリ」が1966年で、こちらは同じ特集のソウル・バスの項で紹介されている。ちなみに、フライシャー監督に影響されたとも言われるブライアン・デ・パルマ監督「悪魔のシスター」(以後多用)が登場するのが1973年だ。
1935年生まれ、スタンリー・キューブリック監督「博士の異常な愛情」(1964年)でタイトル・デビューしたというフェロのフィルモグラフィーを辿ると、ハル・アシュビー、ウィリアム・フリードキン、ジョナサン・デミといった監督との協働が多く、近年はガス・ヴァン・サント、バリー・ゾネンフェルドと組んでいる。気になるところでは、サム・ライミ監督「ダークマン」、ティム・バートン監督「ビートルジュース」といった作品も手がけている。
なお、特集中に登場するタイトル・デザイナーは以下の5人──
ソウル・バス(Saul Bass)
モーリス・ビンダー(Maurice Binder)
ファン・ガッティ(Juan Gatti)
ランディ・ボールスマイヤー(Randy Balsmeyer; BIG FILM DESIGN)
パブロ・フェロ(Pablo Ferro; DEPABLO PRODUCTIONS)
この種の企画では常連のカイル・クーパー(Kyle Cooper)、ガーソン・ユー(Garson Yu; Yu+Co)は、R/グリーンバーグ・アソシエイツ(R/GreenBerg Associates)と共に名前だけ登場する。
庵野秀明公式Webサイトの雑記(ESSAY)の中で、このブログ(2004.06.12付)に書いた“「キューティーハニー」グラウンドイメージメモ”が公開されているのを見つけた。「先日パソコンのファイル整理をしてた時に見つけた昔の文言です。(中略)2000年秋からの記憶です」とのこと。
この雑記、ホントにたまに覗くとホントにたまに更新されていて、「またも御無沙汰です。」という出だしが常態化しているのだが、今年の前半は珍しくややペースが上がっていて、前回から1年と3か月開いた今年の3月8日から6回更新されている(現時点で最終は5月6日と、また滞るかもしれないが)。
仕事履歴(WORKS)もまとめて更新されていて、気になるのはやはり“劇場用映画『ローレライ』(2005年公開予定)画コンテ協力他”か。「キューティーハニー」の言いだしっぺでありながら別の“戦地”に赴いた、樋口真嗣の「本編・長編」初監督作──で、これはぜひ成功して(させて)ほしい企画、なのだ。
西島大介がここではコミックで登板している文藝別冊 庵野秀明(KAWADE夢ムック・2004年5月30日発行)だが、全体に“絶賛モード”が大前提の編集なので、やや乗れず。その中で西島は、微妙に距離感を保っているようには見える。
文芸誌の別冊にもかかわらず、対談相手が滝本竜彦というのは…。この企画、早めに手を打って庵野側にせめて1冊でも滝本の著作を読んでから臨んでもらうべきだったのでは(読んではいるが、あえて触れなかったのかもしれないが)。
影響を与えた責任者と言われても困るだろうが、なにせ相手(滝本)は“エヴァ命”で後を追ってきた“表現者”の一人なのだから。そこに踏み込んでいれば、庵野が連発する「すいません」も、違う重みの言葉になったように思う。
人ごとでないが、インタビュー中「いや、自分も大人になりたいですね」と明かされる心情(p.186)が興味深い。しかも、それが60・70年代のドラマ(を撮ってる人・に出てる人)から感じることのできる「心の強さ」というものの上で語られていたりする。
あとは資料として、「キューティーハニー」のスタッフ・キャストとの意識の共有のために書かれたという「イメージメモ」(p.101)、こういうのが結構重要かも。Newtype THE LIVE 7月号増刊「HONEY STYLE」は、このA級資料を落としていた。
おっと、「タイトル」2004年7月号にも、ピクサー・アニメーション・スタジオの社内案内が。「Mr.インクレディブル」の紹介なども含めて8ページの構成だ。しかし、「直撃!アニメ最前線。」と銘打った特集のメインはピクサーでなく、表紙にもなっている大友克洋監督「スチームボーイ」。「大友克洋『スチームボーイ』のすべてを語る。」「スタッフが語る『スチームボーイ』製作秘話」などで12ページを割いている。
大友監督のインタビューで興味深いのは、こんな下り──。「今回は子どもが主人公なんで、とにかく元気な演出が必要だったんです。そこでみんな元気な画を作ろうと頑張って、頑張るんだけど……正直、日本のアニメーターの仕事はプロ意識に欠けるところがあると思う。その点、アメリカのアニメーターは巧いし、ディズニーの作品を見ても、みんなプロフェッショナルだな、と思いますよ」
これには、「ただね、アメリカのアニメーションは話がつまらない。脚本が問題なんだ」と続く。製作秘話のところで、外丸達也・総作画監督は、「大友さんからはあまり注文もありませんでしたね」と語っている。なので、どんな場面でアニメーターにプロ意識の欠如を感じたのかは定かでないが、大友監督の作品観や仕事観が浮かび上がる部分なので、もう少し踏み込んだコメントを聞きたいところだ。
米国ピクサー・アニメーション・スタジオの特集が、「DVDビデオぴあ」2004年6月号で組まれている。「DVD&ビデオでーた」の「ファインディング・ニモ」6ページというのも通常からすれば大盤振る舞いなのだが、こちらは現地ルポを交えた30ページというボリュームだ。
エドウィン・キャットムル社長などに対するインタビュー中で、創造的な仕事環境をいかに保持するかという観点が頻出するのが印象的だ。スタジオ訪問記では、思い思いの装飾でカスタマイズされた作業ブースの様子が面白い。改造費の半分は、会社側が負担してくれるという。
特集としての力の入り方には、スタジオジブリのバックアップも関係しているのだろう(三鷹の森ジブリ美術館で5月22日から「ピクサー展」が開催される。MoMAにも回るらしい)。クリエイターのインタビューの中にもスタジオジブリに触れた内容があったので、まずそこを紹介──。
リー・アンクリッチ 「ファインディング・ニモ」共同監督 「スタジオジブリの人たちとパネルディスカッションをしたとき、ジブリはその作品の監督や宮崎駿さんの言う通りにスタッフが作業すると聞いて、本当に驚いたんだ。ピクサーは映画の製作過程ではスタッフとオープンに語り合い、共同作業の形をとっているからね」
ディラン・ブラウン 同スーパーバイジング・アニメーター 「アメリカでは今や2Dのアニメは死んだと言われているんだ。3DCGアニメが2Dを押し殺しているって。でも僕はそれはナンセンスだと思う。実際スタジオジブリの作品は2Dだけど、私達よりも素晴らしい作品を作っていると思うよ」
オーレン・ジェイコブ 同スーパーバイジング・テクニカル・ディレクター 「僕らは技術をベースにして、いかに観客を楽しませるかにこだわっているんだ。それはスタジオジブリのスタッフも一緒だと思う。宮崎さんが綴るストーリーは、その核心部分がとても雄弁に語られる。それはストーリーそのものがちゃんとしているからなんだ」
対して「スタジオジブリプロデューサー 鈴木敏夫、ピクサーを語る」の中では、特に「トイ・ストーリー」の2本を評価すると位置付けた上で、その監督のジョン・ラセター(クリエイティブ担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント)の道徳観が、いかにピクサーの精神を形作っているかが分析されている。
「ピクサーの魅力は、その内容です。奇をてらわずに、道徳を作品の中で、素直に今の世の中に向けてちゃんと発信している(関連して高畑勲が『ファインディング・ニモ』に対して指摘したこと、ジョン・ラセターが英語版『千と千尋の神隠し』で(ジブリ側に内緒で)唯一付け加えたセリフについて明かしている)」
「今僕がちょっと気になっているのは、新作『Mr.インクレディブル』を作っているブラッド・バードの存在です。彼は前に健全だけじゃない『アイアン・ジャイアント』という作品を作った人ですよね。その彼が、ピクサーでどんな作品を仕上げるのか。とても興味がありますよ」
最後に、過去のインタビューなどでも紹介されていることかと思うが、ジョン・ラセターによる「観客を楽しませる映画をつくるための3要素」にも触れられているので、確認のために紹介しておこう。──「素晴らしいストーリーを作ること、次に心に残るキャラクターを作ること、そしてそれらをすごく信じられる世界で描くこと」
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